東京新聞夕刊 二月十五日付 「文化学院 校舎解体へ」



ツタの絡まるクラシックな外観で、東京・神田駿河台のシンボルとして親しまれた人文系専門学校
「文化学院」(西村八知校長)の校舎が四月から解体されることになった。
十四日夜、生徒や保護者、OBを対象に説明会が開かれ、解体方針が詳しく説明されたが、
参加者からは保存の道を探れないかなどと惜しむ声も聞かれた。

校舎は一九三七年建設の四階建てで、アーチ型の入り口が特徴。
学校側の説明によると「老朽化による耐震性への不安」が解体の理由という。
四月上旬の入学式まで使用し、解体後の跡地には来年十二月を目標に十数階建ての新校舎を建設。
この間の授業は近くのビルを仮校舎として行う。

解体はうわさされていたが、今月六日になって生徒らに初めて伝えられた。
十四日夜の説明会には講堂に数百人が集まり「時間をかけ、建物を残す方法を探るべきだ」
「抜き打ち的ではないか」との声が次々に出た。

急なスケジュールになったことについて学校側は「隣接の病院の建て替えが始まることになり、
騒音で授業が妨げられる」との理由を挙げて理解を求めた。

同学院は一九二一年、教育家西村伊作氏が歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻らとともに設立。
日本初の男女共学校とされる。校舎は西村氏の設計で造られた。
戦時中は軍部が接収し、捕虜収容所としても使われたが、創立以来の自由な校風で知られる。

中卒者が対象の高等課程(三年)と高卒者向けの専門課程(同)からなり、専門課程は美術科と文学などを学ぶ
創造表現科があって多くの芸術家を輩出。出身者には、小説家杉本苑子さん、服飾デザイナー鳥居ユキさん、
同菊地武夫さん、女優十朱幸代さん、元米米クラブの石井竜也さんなどがいる。


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